木田宏教育資料・オーラルヒストリーのデジタルアーカイブ化とその活用の推進について
木田先生は、戦後の国の制度、教育の有り様が混沌とした時代に、教科書制度、学習指導要領、教育委員会制度を担当され、現在の教育制度の基礎を構成されました。
敗戦当時の状況は、次のような安部文部大臣の米国教育使節団に対するあいさつ(昭和21年3月8日)でもわかります。
「……日本に來て居られるアメリカ人の中には若い理想主義者があって彼等はアメリカに於いても未だ實現せられない抽象的理想を、日本を実験場として性急に試みんとされる傾きもないではありません。日本人が虚心坦懐にアメリカの与へてくれる勧告を受け、在来の教育に思ひ切って改革を加へると共にその受容が日本人の良心と批判とを以てなされねばならないことは、各位の特に諒とせられる所でありませう。……」
木田先生は、当時教科書担当として、米国司令部の指示で国定教科書から検定教科書への移行、Courses of Studiesを作れとの指示で「学習指導要領」と訳され作成に当たられました。
また、多くの反対の中で、現状の教育委員会制度を国会に警察まで入れ成立しました。
これを担当課長として進めた木田先生の国の体制、教育の有り様についての考え、強い信念を、ぜひ教員や学生に研究させたいと考えています。
現在、日本の教育は社会の情報化、グローバル化に対応した教育改革や人材不足、教育力の低下をいかに止め、さらに向上させることの必要性が言われだし、その試行実践も進みだそうとしています。
木田先生は「ものごと」を数十年、数百年先から見る人でありました。先生の考え、信念は、現在の我が国の「国の体制」、教育の有り様を考えるとき、大変役立つと思います。
多くの方々、機関等の賛同を得て、この木田宏教育資料・オーラルヒストリーを次の大きい教育改革の基礎資料としてデジタルアーカイブし、その成果を広く広報し、次の日本の歩む道筋を皆さんと一緒に考えたいと思います。
木田宏 教育資料 冊子 木田宏先生からのお手紙