長良川の一大支流吉田川は,烏帽子岳(標高1,625m)東方斜面にその源流を発し,途中で気良川,寒水川とを合わせ,郡上市八幡町のほぼ中央を西に流れて小駄良川を集め,長良川に合流する流路延長約22キロメートル,流域面積186.7平方キロメートルの一級河川です。
 吉田川の上流部にはブナやミズナラなどの自然度の高い森が広がり,様々な野生動物を見ることができます。
 中流部では植林が多くなりますが,サワグルミやフサザクラ,ケヤキ,ヤナギなどの河畔植生が川を縁取り,深い渓谷状の地形とあわせて美しい渓流景観を見せてくれます。
 なかでも天竜峡と呼ばれる一帯は,河岸が断崖絶壁をなし,奇岩が起伏して激流に洗われ,その砕け散る水しぶきには心奪われる格別の快さがあります。
 中流部から河岸には細長い谷底平地が形成され,水田や集落が点在し静かな山村のたたずまいを見せます。
 下流では,郡上市八幡町市街地のほぼ真ん中を東西に貫いて流れ,八幡大橋,八幡橋,新橋,宮ヶ瀬橋,郡上大橋の5つの橋が街の南北を結んでいます。これらの間では,岩に砕け散って水しぶきをあげながら流れる瀬,岸壁の下によどむ藍色の深い淵,夏の夕べには水面に映る灯火の影など,数々の渓谷美を見ることができます。
 なかでも,宮ヶ瀬橋付近の淵は「宮ヶ瀬どんぼ」といわれてひときわ美しく,夏は子供たちの遊泳場となっています。
 吉田川の冷たくきれいな流れには,さまざまな魚がすんでいます。八幡の市街地に近い比較的流れの穏やかな場所ではオイカワやカワムツ,アユなどが泳ぎ,上流部の渓流や早瀬などにはイワナ,アマゴ,カジカ,アジメドジョウなどが住み,長良川流域を代表する魚・サツキマスの姿も見ることができます。

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