席田用水は本巣郡本巣町にある水門で根尾川の水を取り入れ,本巣町・糸貫町・真正町を通り,やがて糸貫川と名前を変えて長良川に注ぎ込む農業用水です。流れの途中でいくつもの流れに分かれ,その一部は岐阜市西部の水田を潤します。
江戸時代以前の根尾川はこの席田用水の流れを通って長良川に合流していましたが,1530年に起こった大洪水により根尾川はその流れを変えて揖斐川に注ぐようになりました。その結果旧根尾川本流の流域は水不足となりしばしば干ばつに襲われました。そこで,流域の人々は本巣町山口地区の根尾川に水門を作り,旧根尾川本流に水を流すようになりました。これが席田用水の始まりです。
この用水の取水口は四分六分の分水あるいは席田・真桑の番水とも呼ばれ,古くから席田用水と真桑用水の2つの用水の間で水争いが絶えませんでした。1641年,江戸幕府により水田の広さをもとに真桑用水4対席田用水6で水を引く権利と番水と呼ばれる一方の取水口を締め切り,決められた時間もう一方の用水に全部の水を流す決まりを取り決めて解決しました。
現在の席田用水は,岐阜の名水100選にも選ばれるほどの水質を誇り,農業用水としての役割を担うと共に地域の人々の環境整備によりホタルの乱舞する名所として多くの人々に親しまれています。
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