中濃用水は，室町期から江戸期にわたって開削された山県用水，千疋用水，池尻用水が前身となり，時代とともに形態を変えながら引き継がれてきた用水です。
　現在の中濃用水が潤す地区は，かねてから長良川を水源とする池尻用水，武儀川を水源とする山県用水・千疋用水，さらに石田川及び鳥羽川を水源とする揚水地区から構成されていますが，長良川以外の河川は流量が少なく，用水施設の不備が重なってたびたび干ばつの被害を受けてきました。
　このような状況を改良するために，昭和二十年代後半から幹線用水路の統合や改修などが行われ，水系を一つにする４つの土地改良区が「中濃用水土地改良区連合」を結成することによって，中濃用水事業推進体制が確立するに至りました。
　その後，中濃用水は高富・岐阜北部地域まで延び，高富・岐阜北部地域の用水補給が可能となりました。現在の中濃用水は，美濃市より岐阜市北部に至る長良川右岸一帯の比較的平坦な地域を灌漑し，受益区域は4市（美濃市・関市・岐阜市・山県市）にまたがります。