長良川とその支流の板取川にはさまれ,武儀郡と郡上郡の境に位置する高賀の山並み。静かな渓谷と森に囲まれたこの一帯が高賀山信仰の地域です。高賀の山並みに点在する幾つかの神社はかつては仏教の道場として栄え,明治時代には高賀山六社めぐりとして庶民の崇敬を受けました。
高賀神社は高賀渓谷の奥にあり高賀山信仰の中心となる神社で神殿には祭神とともに仏像も安置する神仏混合の神社で,その由来は平安時代朝廷の命を受けた藤原高光がこのあたりに住み着いた魔物を退治したことからとされています。
毎年11月3日に行われる高賀神社の秋祭りは,氏子約36戸が裃をつけて,ホラ貝やお囃子と共に宮入する行事から始まります。この年は,雨にたたられ,裃ではなく洋服での宮入となってしまいました。
神事に続いて神楽の奉納が行われます。神楽の奉納は,親子4代で構成されている一家によって行なわれます。例年は境内で行われる神楽もこの年は雨天のため神楽は拝殿内で行われました。
神楽の奉納が済むと餅が撒かれ祭りは終わりとなります。ここ高賀神社では,古くからの秋祭りがそのまま受け継がれています。
高賀信仰の一つとして,今は廃れてしまいましたが岐阜市早田地区の農民が高賀山へ雨乞い踊りを奉納していたという伝承があります。大根農家が夏に水不足になると高賀神社に雨乞いの踊りを奉納すると不思議に雨が降ったという伝承です。
高賀神社をはじめ本宮神社,新宮神社,星宮神社,金峰神社,滝神社は高賀山をとり囲むように,谷筋の奥まった地点に祀られていることから,高賀信仰が農耕神としてあるのは六社が長良川支流の源流に位置しており,農民にとっては水を司ることに関わるものであると考えられていたからでしょう。

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