真桑人形浄瑠璃は,本巣市真正町に300年以上前から伝わる郷土芸能で,広く「真桑文楽」と呼ばれています。
 真桑文楽の歴史はこの地の水争いの歴史と深い関わりがあります。江戸時代に,この地の水争いの解決に尽くした福田源七郎の功労をたたえて演じられた操り人形芝居に始まる真桑文楽は,明治初年に至るまで用水の恩恵に浴した二郡十六村が毎年その経費を負担して上演を続けてきました。
 真桑人形浄瑠璃は,初めはいわゆる「突込遣い」といわれる一人遣いでした。 これが後に大阪文楽の影響を受けて,今日見るように,「主づかい」と「左づかい」と「足づかい」の三人が一体となって人形を操る三人遣いになりました。
 浄瑠璃と三味線,人形が一つに融け合って,人形が生きもののように美しく,表現される演技は農民の余技とは思えぬ見事なものとして今日に至っています。
 真桑人形浄瑠璃が演じられるのは,上真桑本郷地区の物部神社の祭礼にあたる春分の日とその前夜です。観客は舞台前の広場で春の穏やかな光を浴びながら,人形の動きに見とれ,浄瑠璃と三味線の響きに酔いしれます。
 演者と観客が一つになり,昔と変わらない時が流れていきます。

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