各家庭にはね、戦闘機が爆弾落とすって言って、蔵も全部黒く塗っちゃって。分からないように塗っちゃったの、黒く。ほんで家にある金物。火鉢とかね、お寺の鐘つき堂の鐘ね。あれとかみんなその時分は供出しんなかったの。あるものをみんな出してくれって言って、お寺の鐘から、自分とこの家やったら、金の火鉢やとかね、そういうものあったもんで、全部出しちゃって。金物何にもないように。なんか軍の方へ出しちゃったんです。戦時中その女学校行っとる時に、お百度参りってね、戦争に行かれる人の、祈願を祈るために、百回お百度参りって言って、裸足で奥之院まで行って、石を投げて戻ってくる。それを婦人会の人が、「今夜、お百度参りやでお願いしますね」って言って、そうやってみえるとついて行って、そのお百度参りを戦時中ね、兵隊さんが無事に帰ってこれるようにっていって、お百度参りをしたわけ。あと、千人針っていってね、こういう筆のね、あそこにたんたんたんっと赤い穴開けて、赤の糸でこぶ作って、こういうのにね、千。千作るわけ。ほんで寅年の人は、寅の数だけ千人針作れるの。普通の人は一個だけしか作れんけども、寅年は寅の数だけやもんで、「あ、あそこの家には寅年の人がみえたであそこ行こうかね」って、そういうとこ行って訪ねて、この千人針を作ってね、届けたわけ。皆若い人は特攻隊って言ってね、私の主人もそうやけども、まだ二十歳にならんうちに、特攻隊へ志願してね、予科練へ。行ったわけなんです。