でまあそういうことで。今の軍役は、名前は、満州でも大きい街やけどハルピン市。現在でもハルピン。中国語ではないけどもハルピンいうんやね。ハルピン市からどうやろ2駅やったで、100キロくらい。10キロくらい北側へ入ったとこやったね。あそこにヘイボウちゅうとこやった。満州国関東軍の防疫給水特殊部隊。難しいことへ入ったもんやこれ。その前に歩兵を1か月間やって、そのあとにその特殊部隊入ったね。歩兵に入った場合は、まあこれは人殺しの訓練ばっかで、他のこと何にもやっとらん。ところが義勇隊でかなり鍛えとったもんやで、とんとん拍子で、なにさにつけてこんな調子のええとこないやって、仲間と一緒に勤めとったんやけども。ちょうど1か月経った時に査閲があって。その査閲もどえらい成績優秀で、そんなとこ褒められとってもあかんけどあって、終わった翌日。夜の9時か10時やったかな。呼び出されて「渡邉は明日、ハルピンの方の軍隊に配属になったで、行ってもらないかん。」おいたって言ったら?おいたなんて言ったらお前銃殺やぞって。昔はそういう、上からの命令は刃向かうことができなんだもんやでね。ほんでまあ、黙ってついてけって。ほんで次の朝早よう、そのとき歩兵部隊は牡丹江省の、エキガか。エキガのとこにある部隊で。そこではほんとかわいがってもらって、楽しとったわけやね。ほんでまあ命令なら仕方がないちゅうとこで、一人出てったわけや。で、今のヘイボウの防疫給水特殊部隊か。そこへ入隊する時にも来るのが1時間くらい遅れちゃって。もう、入隊時間に遅れると重営倉へ入らなんで。刑でも1番重い刑やけども、それを心配して恐る恐る行ったときに早や夜になっとったわ。まる1日かかって、ハルピンに。で行ったら門番が立っとって「入隊か」「はい。時間が遅れて、重い罪になるのか」って聞いたら、「いやいやええよ。今ここにみんなで食べた夕飯が残っとる。残飯やけども、食え。」そのころは腹がよう減る時期で。ほんで残飯だろうがなんだろうがちゅうことでもらって食べて。次の日からもう早や、配属の兵舎も何もかも決まっとったもんで入れられて、叱られもどうもせずに入隊時間の遅れは何ともなかったんや。やれやれと。