長良川と農業
農業になくてはならない水も,長良川がもたらしてくれます。冷涼な高原での大根作りや,木曽三川の集まる輪中地帯の水田まで,それぞれの地形の特色にあわせて古くからその豊かな水が利用されてきました。
農業になくてはならない水も,長良川がもたらしてくれます。冷涼な高原での大根作りや,木曽三川の集まる輪中地帯の水田まで,それぞれの地形の特色にあわせて古くからその豊かな水が利用されてきました。
海のない岐阜県では,川の魚は貴重なごちそうでした。人々は魚の性質を研究し,ふさわしい道具を作って漁をしていました。夏の漁,夜の漁,人々の知恵が編み出した伝統的な漁法は現在も受け継がれています。
豊かな水が山を育み,長良川流域には多くの山林が残されています。その巨木から作られる木材は,頑丈な高級品として知られています。一方,森を知り,森を育もうとする意識も高まってきました。現在,流域の美しい森林を守るために働く人々がいます。
長良川流域では,その水に関係の深い産業が発達しました。和紙も,漁具も藍染めもすべてがその恩恵に浴しているといえます。その独自の技術は,長い時間を経て,岐阜県の代表的な産業として今日も知られる,一つの文化を創りました。
人々の生活に水は欠かせません。長良川流域では,各所に澄んだ涌水が湧き,名水の宝庫として知られています。また,水を効率よく広い地域に供給するために作られた用水は農業や発電に利用され,様々な面で私たちの生活を潤しています。
いくつもの橋が架かり,電車や鉄道の走る長良川も,昔は川舟と呼ばれる和舟を使い行き来をしていました。川舟は人々を対岸へ渡し,物資を輸送し,流域の文化の発展に大きく貢献しました。川を挟んだ行き来の歴史は,そのまま流域の人々の歴史であるといえます。
木曽三川が合流し,洪水が頻繁に起こる下流地帯の歴史は水との闘いでした。堤防を築き,河川を改修し,分流するといった工事に,多くの人々の苦心と犠牲がありました。その功績は遺跡として,また現在も生きつづける技術として,受け継がれています。
自然に囲まれた涼しい水辺は、夏の恰好の遊び場です。キャンプや釣り場には多くの人が訪れ,思い思いに楽しみます。近年はスポーツイベントも開催されるなど,長良川の新しい遊び場が整備されています。
長良川に訪れる人々が増えるとともに,ありのままの自然は姿を消していきます。水質が悪化し,川原にゴミが散らかっているのも現状です。しかし,その状態を改善し,清流長良川を守り,美しいまま育んでいこうという動きが出てきました。
長良川も下流になると,人々が多く暮らす街の中を通って流れています。近年,長良川と人々の生活をもっと近いものにしようとする計画が進められています。魚達に住みやすい川づくり,自然溢れる街づくりは,いわば長良川との共存です。