雅楽の楽器
打物
羯鼓(かっこ)
鞨鼓とは、雅楽合奏の中では主となる、大きな役割を担った楽器です。
西洋音楽では指揮者がいて、曲の速度や個々の楽器の合図を送る人がいますが、雅楽にはそのような存在がいないため、鞨鼓が曲の始まりや終わりを合図したり、曲の速度を整えるなどの重要な役割を果たしています。
また、鞨鼓を扱う演奏者は雅楽に通じたベテランの方が担当しています。
楽太鼓(がくだいこ)
釣太鼓とも呼ばれる太鼓です。
この太鼓は片面のみを打つもので、左手で軽く打つことを「図(ずん)」と呼び、右手で強く打つことを「百(どう)」といいます。
左桴(ばち)を先に打ち、その後に右桴を打つことを合桴(あわせばち)という太鼓の基本奏法です。
鉦鼓(しょうこ)
雅楽で扱われている楽器の中では唯一の金属楽器です。
2本の桴の下の方を両手に持って演奏します。鉦鼓は太鼓のように「打つ」とは呼ばれず、「摺る(する)」と呼ばれています。
雅楽の合奏では鉦鼓の金属特有の高く響く音色を装飾します。
笏拍子(しゃくびょうし)
雅楽で扱われる楽器の中で最も簡単な作りをした楽器です。
左手は切り口を手前に向けて持ち、右手は切り口を左側になるように持って打ち合わせて音を出します。
弾物
琵琶(びわ)
雅楽以外で使われる琵琶と区別するために「楽琵琶」と呼ばれています。
水平に構えて演奏する琵琶で、メロディーを奏でることを目的とはしておらず、低い音の絃から高い音の絃の向かって複数の絃を鳴らす奏法が基本の楽器です。
筝(そう)
琵琶と同様に、他の筝と区別するために楽筝と呼ばれています。
右手の親指、人差し指、中指に竹の爪をはめて演奏します。琵琶が拍の頭を決める役割であることに対して、筝は演奏の全体のテンポを司る役割があります。
吹物
笙(しょう)
細長い17本の竹管を頭と呼ばれる椀形の円周上に縦に並べた特徴的な形をしています。
この17本の竹管のうち15本にリードが付いており、竹管の下の小孔を抑えることで息を吹いても吸っても音が出る仕組みになっています。
篳篥(ひちりき)
ペルシアの方からシルクロードを経て大陸から日本へ伝わったとされています。
音域はあまり広くない楽器ですが、音を連続的に滑らかに変化させる「塩梅」という奏法を多用します。
龍笛(りゅうてき)
雅楽で使われている笛は3種類あります。
このうち龍笛は管絃で用いられており主笛(おもぶえ)と呼ばれています。
広い音域を奏でられるため、主旋律を演奏する篳篥の音を装飾するように演奏する楽器です。